連盟について

理事長あいさつ

新年の挨拶

皆さま健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年の振り返り

昨年は、「近畿老人福祉施設研究協議会 兵庫・神戸大会」などの大きなプロジェクトを成功させ、皆さま一人ひとりの結束力に感動する年でありました。神戸市老人福祉施設連盟に対する1年間の皆さまのご協力に心から感謝いたします。

「近畿老人福祉施設研究協議会 兵庫・神戸大会」でも注目された「認知症ケア」ですが、認知症疾患の1つであるアルツハイマー型認知症に昨年、新たな進展がありました。2023年9月25日、日本のエーザイ社と米国のバイオジェン社が開発したレカネマブ(商品名:レケンビ)が、アルツハイマー型認知症による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制の効能・効果で厚生労働省により薬事承認されました。認知症予防については、従来の生活習慣の改善による予防に加え、アルツハイマー型認知症の病態機序に作用して疾患の進行を抑制する疾患修飾薬が開発され、軽度認知障害や早期アルツハイマー型認知症に対する新しい進行予防法として期待されています。一方で、効果が見込める人を検査で適切に選別して、治療薬を届けることが必要になりますが、そのためには検査ができる病院の情報や地域における医療機関の連携が大切になってきます。新しい治療薬に対応できるような認知症医療システムの早期構築が望まれます。

外部環境の変化

2023年を振り返りますと、社会は2020年から続く新型コロナウイルス感染症、紛争、物価の高騰、急激な円安など、様々な事柄が「従来どおり」とはいかない不安定な一年だったと思います。

(1)新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症の発生から3年余りが経った昨年5月8日からは、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられました。新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、陽性者の把握は従来の全数把握から定点観測になり、診療を行う医療機関も拡大してきました。しかし、今回の流行は、医療提供体制の問題点を明らかにしたと考えられます。例えば、救急医療提供体制と高齢者救急のあり方、医療機関間の連携、介護施設における医療対応、施設間の医療情報共有の仕組み、リスクコミュニケーションのあり方などです。新型コロナよりも数規模の大きなパンデミックを経験した諸外国の対応の経緯から、学ぶべき点も多いとも考えられます。

(2)物価高への対応

高齢化、若年人口減、増大する政府債務、伸びない所得、温暖化やウクライナ情勢による物価高騰など、国内外環境は厳しさを増しています。こうした不透明な状況下においては社会保障制度の持続可能性も危うくなってしまいます。限られた資源を今まで以上に有効に使うという意味で、介護保険事業計画や診療報酬制度なども修正を迫られることになるでしょう。水道光熱費や食材料費などの高騰は、介護事業所や医療機関に大きな影響を及ぼしており、特に、収益の大部分を介護報酬に依存している介護事業者への影響は甚大です。

介護事業者が取れる物価高への対策は、「公的支援」「介護報酬加算の取得」「省コスト対策」であると考えられます。今までも介護事業者の多くは、経費削減に注意を払ってきました。さらに、コロナ禍による経営環境の厳しさから、コスト削減を意識せざるを得ない施設が増えています。介護事業者は、行政の支援制度を活用するほか、無駄を確認し、適正化することで事業構造の見直しに取り組んでいくことが必要だと考えます。加えて、ICTも取り入れながら生産性向上を図っていくことも重要だといえます。物価高による介護事業者への影響は、2024年以降も続くと考えられます。政策には期待はしていますが、どこまで効果があるかわかりません。介護事業者自身の対策によって、現状を打開していくのが望ましい姿であると考えています。

(3)特養の経営悪化と民間参入

介護サービス事業所の経営が2022年度、過去最低水準まで悪化していました。厚生労働省は2023年11月、介護事業経営実態調査の結果を公表しました。企業の利益率にあたる収支差率は、全サービス平均2.4%で、前年度から0.4ポイント悪化しています。特別養護老人ホームなどの収支差率は、2001年の調査開始以降、初めてマイナスとなりました。物価高による光熱水費や食材費などの高騰が影響したとみられます。

また、介護保険法施行以後、民間事業者の参入によってサービスの量的拡大が図られ、基盤整備が進められています。しかし、経済的要因から介護サービスの利用が制限される、あるいは住み慣れた地域を追われる高齢者が少なからず存在します。介護保険制度では、保険料の所得に応じた設定や施設における補足給付など、外見上は低所得者への配慮がなされていることになっていますが、実際には、市場の論理による制度からの排除が起きているのが現状です。

2024年度の介護保険法の改正が、介護の普遍化を妨げ、介護における排除を促進させる結果になってはなりません。むしろ、既存の介護保険制度の下で解決できなかった地域からの排除や孤立の問題に着目し、市町村の責任の下で地域の多様な人や機関の参加を図り、格差にかかわらず全ての地域住民が包摂されるような地域包括ケアシステムの構築が目指されるべきだと考えます。現在、政府が推進している地域包括ケアは、残念ながら制度として保障されているものではありません。地域が主体的に問題提起し、政策提言をして構築していかければならない課題であると考えます。

介護報酬改定

2024年4月は、6年に1度の介護報酬、診療報酬および障害福祉サービス等、報酬の同時改定になるとともに、第9期介護保険事業(支援)計画と第8次医療計画の開始年度として、人口減少・超高齢社会における医療・介護提供体制の整備に向けた大きな節目となります。医療・介護・障害福祉サービスのさらなる連携推進が目指される中、あらゆる場において適切に機能・役割を発揮できる提供体制の整備とその評価が不可欠であると考えます。

現時点において、介護報酬改定には4つのポイントがあります。①財務諸表の公表、②介護予防支援事業所の拡大、③処遇改善加算の一本化、④科学的介護のさらなる推進、になります。

(1)財務諸表の公表

介護サービス事業所における財務諸表が公表義務化されます。今まで、財務諸表の公表義務化は社会福祉法人や障害福祉事業者のみが対象でしたが、今回の介護報酬改定で介護事業所も加わります。制度改定後は、各事業所の財務諸表は厚生労働省の介護サービス情報公表システムで公開されるため、事業所の経営状態を誰でも自由に確認できます。

(2)介護予防支援事業所の拡大

今まで要支援1、2のケアプランは、各地区の地域包括支援センターが指定を受けて作成していました。しかし、今回の改定により、介護予防支援事業所が拡大され、居宅介護支援事業所でも介護予防支援サービスを提供できるようになります。居宅介護支援事業所でもケアプランを作成できるようになることで、業務負担を分散して地域包括支援センターの負担を軽減できるなどのメリットがあります。

(3)処遇改善加算の一本化

現在、介護報酬の処遇改善加算は次の3種類があります。①介護職員処遇改善加算、②介護職員等特定処遇改善加算、③介護職員等ベースアップ等支援加算。

様々な処遇改善加算があり複雑で分かりにくいことから、この3つの加算を一本化しようというものです。なお、処遇改善加算の一本化については、障害福祉サービスの処遇改善加算も含めて検討することが議論されています。

(4)科学的介護のさらなる推進

厚生労働省は、介護サービス利用者のサービス利用内容・介護度の変化といった情報を収集し、ビッグデータから最適な介護方法を割り出せるようになることを目標としているため、科学的介護であるLIFEシステムを推進しています。現在は、通所介護・特別養護老人ホームで、科学的介護が始まっていますが、今後は訪問介護・居宅介護支援サービスでもLIFEシステムを導入する予定です。

外国人介護職員採用の背景

高齢者とその家族を支える介護保険サービスは、年々、需要が拡大を続け、とりわけ介護職員の慢性的な人材不足は深刻な課題となっています。第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数は、2019年の211万人から団塊の世代が後期高齢者となる2025年には約243万人が必要と見込まれていることから32万人の介護職員が不足すると報告されています。このため、処遇改善加算による賃金向上や職場環境の改善を目的とした介護現場におけるICT化の推進など様々な施策が試みられてきました。その1つが外国人介護職員の採用です。

在留資格拡大への期待

日本の人口減少社会における介護職について、外国人労働力の導入を図ることは必要であり、国際的な労働移動は不可避であると考えます。このような中、日本では2008(平成20)年度より経済連携協定(EPA)に基づき,介護分野にて外国人介護職員の受け入れを開始しました。その後、2018(平成30)には、新たな在留資格として「特定技能1号」、「特定技能2号」を創設しました。ここでの「特定技能1号」とは、分野ごとに行う日本語と技能試験の合格者に資格を与え、不足する人材の確保を図るべき産業分野に属する相当程度の知識又は経験や技能を要する業務に従事する在留資格となっていました。

現在、国の検討会で在留資格拡大のため検討されているのは以下の3点に絞られています。①訪問系サービス等へ従事拡大、②事業所開設後3年要件の緩和、③人員配置基準算定の緩和、となります。①は現在、技能実習、特定技能1号の対象者は、施設系サービスでの従事は認められていますが、訪問系サービスでは認められていません。これは施設系では、複数の職員が指導に当たれるのに対し、訪問系では1対1のサービス提供が基本であるため、教育研修が十分に行えないことが最大の理由です。一方、訪問系では利用者が外国人介護従事者の居宅訪問を避けたがるという現実もあります。②は、技能実習を受け入れる条件として介護事業者の経営安定度を考慮したルールです。③は、介護技能や業務に必要な日本語能力が向上することを前提に、就労開始から6ヶ月経過後は施設側が施設の人員配置基準に算定していることに対する取扱いの再検討を意味します。検討会の初回では、これらの検討事項について各委員の賛否などが表明され、数回の検討会開催を経て、検討会としての意見をとりまとめる予定と聞いています。先行きは見通せませんが、各検討事項に関して最低でも段階的に緩和する方向で進むとの見方が関係者の間では大勢を占めています。

2024年度 神戸市老人福祉施設連盟

本年の干支は、「辰年」にあたります。辰年は、陽の気が動いて万物が振動し、活力旺盛になって大きく成長し、形が整う年だといわれています。世の中が目まぐるしく変化するこの激動の時代だからこそ、神戸市老人福祉施設連盟の総合力の強みを最大限活かすことができるはずです。そして、神戸市老人福祉施設連盟の多才な人材の力と叡智を結集することで、本年を飛躍の年にできると確信しています。

神戸市老人福祉施設連盟は、神戸市の高齢者福祉を代表する組織であり、今後の高齢者福祉を推進する牽引役を果たすべき責務を負っております。皆様におかれましても、本年も引き続きご支援、ご指導いただきますよう、年頭に当たり改めてお願い申し上げます。

目的

老人福祉及び介護に関するサービスの質の向上と
事業の健全な発展

市民福祉への貢献等福祉の増進に寄与する

事業

目的を達成するために次の事業を行っています。

  • 01.
    老人福祉及び介護に関する調査研究
  • 02.
    老人福祉及び介護に関するサービスの質の向上と事業の安定経営
  • 03.
    老人福祉及び介護に関する研修会等の実施と厚生福利の増進
  • 04.
    老人福祉及び介護に関する普及啓発活動と地域福祉の推進
  • 05.
    老人福祉及び介護に関するセーフティーネットの構築
  • 06.
    その他目的達成に必要なこと

財務報告

財務諸表については、下記からご確認ください。

連盟概要

  • 組織

    会員
    正会員は、神戸市内の社会福祉法人等の施設長で構成する。
    現在の会員数
    130人
    現在の加盟施設数
    • 特別養護老人ホーム / 113施設
    • 養護老人ホーム / 9施設
    • ケアハウス / 31施設
    • デイサービスセンター / 97施設
    • 単独型ショートステイ/ 1施設
    • 計 / 251施設2023年度 現在
    賛助会員
    45社(2023年度 現在)
    新規入会案内
    入会をご希望の方はこちら
  • 役員

    • 理事長 / 1名
    • 副理事長 / 3名
    • 理事 / 18名
    • 事務局長 / 1名
    • 監事 / 2名

    2021年度 現在

    委員会・部会

    委員会
    経営委員会・ケアの質向上委員会・事業対策委員会
    施設長会
    養護施設長会 / ケアハウス施設長会 / デイサービス施設長会 / 各ブロック別施設長会
    職種部会
    相談員会 / 栄養士会 / 看護師会 / 介護士会 / デイサービス相談員会 / 社会福祉軟式野球部(神戸ルミナリエ)
  • 事務局

    〒650-0016
    神戸市中央区橘通3-4-1
    神戸市立総合福祉センター 2階

    TEL:078-351-6402

    FAX:078-351-6403

連盟沿革

  • 昭和39年(1964年)
    神戸市老人福祉施設連盟が設立
    養護老人ホーム7施設、軽費老人ホーム1施設の計8施設でスタート
  • 昭和44年(1969年)
    事務局を神戸市民生局福利課に設置(会員数 11施設)
  • 平成9年(1997年)
    神戸市社会福祉協議会に事務局機能を委託(会員数 42施設)
  • 平成12年(2000年)
    介護保険制度スタート(会員数 73施設)
  • 平成13年(2001年)
    神戸市介護サービス協会が発足(会員数 81施設)
    介護保険事業に関係する7団体が連携し、神戸市民に良質かつ安定的なサービスを提供することを目的とし、当時の当連盟理事長吉岡氏が会長に就任
  • 平成17年(2005年)
    神戸市市民福祉功労賞を受賞(会員数 90施設)
  • 平成19年(2007年)
    神戸市立総合福祉センターに独自の事務局を設置(会員数 89施設)
  • 平成21年(2009年)
    任意団体としての活動を改め、一般社団法人 神戸市老人福祉施設連盟に移行(会員数 92施設)
    設立趣意書

アクセス

一般社団法人 神戸市老人福祉施設連盟

〒650-0016
神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市立総合福祉センター内2階
JR「神戸駅」から徒歩6分
神戸高速鉄道「高速神戸駅」から徒歩2分
神戸市営地下鉄「大倉山駅」から徒歩4分
神戸市営地下鉄「ハーバーランド駅」から徒歩7分